中小企業がわざと赤字決算にするメリットとデメリット!節税や融資に影響?(開業税理士が執筆)

中小企業 わざと赤字
中小企業がわざと赤字にするメリット・デメリットは?
  • 中小企業がわざと赤字にするメリットは?
  • 赤字決算で法人税や消費税はどうなる?
  • わざと赤字決算することで融資などに影響はある?

赤字決算と聞くとマイナスなイメージが先行しますが、経営戦略としてあえて赤字を計上する中小企業もあります

わざと赤字にすることで、会社にどのようなメリットがあるのでしょうか。

また、赤字決算を計上しようと考えるのであれば、メリットだけでなくデメリットも覚悟しておかなければなりません。

この記事では、中小企業がわざと赤字決算にするメリットとデメリットについて解説します。

節税対策や企業戦略として赤字決算を視野に入れている経営者の方は、参考にしてみてください。

【この記事を書いた人】文章を書くのが三度の飯より好きな40代前半の税理士ライターです。会計や税務について様々なメディアに寄稿しています。上場企業経理として10年勤務(税理士資格取得)後、税理士・執筆業として独立開業しました。税理士としては常時15社の顧客企業の税務を担当しています。

中小企業がわざと赤字決算にする3つのメリット

中小企業 わざと赤字
わざと赤字にすることでどんなメリットがある?

1. 法人税や所得税がゼロになる

中小企業がわざと赤字決算にすることのメリットのひとつとして、法人税や所得税がゼロになることが挙げられます。

会社や個人は1年間の売上から費用を引いた「所得」に対して、一定の税率をかけて法人税や所得税を支払います。

赤字とはこの所得がマイナスになることを指しています。

マイナスに何をかけてもマイナスにしかなりません。

つまり、赤字であれば法人税や所得税を支払う必要がないのです。

ただし、赤字だからといっても以下の税金は納める必要があります。

  • 消費税
  • 均等割り

それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。

消費税

消費税は「商品やサービスを購入した消費者から預かり、代わりに納税する」という間接税なので、

会社の黒字・赤字に関わらず納付しなければなりません

納める消費税を求める計算式は次の通りです。

売り上げにより消費者から預かった消費税-費用にかかった消費税=納付額

たとえば売り上げが500万円で消費税が50万円、経費の支払いに300万円で消費税が30万円かかったとしましょう。

納める消費税は、50万円-30万円=20万円となります。

この計算式を元にすると、赤字ってことは費用にかかる消費税の方が多いから納める必要がないのでは?と思う方もいるかもしれませんね。

実はその通りなのです。

しかし、費用のすべてに消費税がかかるわけではないのが注意点です。

たとえば、1,000万円の売上がある企業で、費用が1,100万円かかったとします。

この費用のうち、200万円が給与だとすると、どうでしょう。

給与には消費税が発生しないため、1,100万円-200万円=900万円となり、

900万円の10%の90万円が費用にかかる消費税となります。

売上1,000万円にかかる消費税は100万円です。

結果、受け取った消費税100万円から、支払った消費税90万円を差し引き、100万円-90万円=10万円を納付することになります。

均等割り

法人税には、

  • 国に納める税金
  • 都道府県に納める事業税と県民税
  • 市町村に納める市町村民税

の3つがあります。

資本金が1億円を超える会社は少し異なりますが、ほとんどの税金が所得に税率をかけるので、赤字であれば法人税は発生しません。

しかし、県民税と市町村民税の一部は計算方法が異なり、赤字でも税金を納めなくてはなりません。

それが均等割りです。

均等割りは所得ではなく、資本金の額や該当の都道府県に設置している拠点で働く従業員の数を基準にして税額を求めます。

2. 赤字を翌年以降に繰り越せる

赤字決算するメリットの2つ目が、赤字を翌年以降に繰り越せるということです。

法人は繰越制度と言って、赤字を翌年に繰り越すことができます。

例えば今年は100万円の赤字で決算が確定したとすると、赤字なので法人税の納付はありません。

一方で翌年に50万円の利益が出たとしましょう。

この時、50万円分の税金を納めなければならないのでしょうか?

答えはNOです。

この場合、繰越制度により、前期の赤字100万円と今期の黒字50万円を相殺し、50万円の赤字として計上することができます。

したがって、法人税も発生しません。

なお、法人であれば赤字を9年繰り越すことができますが、個人事業主の場合の繰り越し期間は3年です。

3. 前期支払った税金を還付してもらえる

前期に支払った税金の還付が受けられるのも、赤字決算のメリットです。

法人が赤字になった場合、前年に納めた法人税を一部還付してもらうことが可能です。

仮に法人税の税率が30%だと仮定して解説します。

前年に1,000万円の所得があり、法人税300万円を納付します。

今期、500万円の赤字となった場合、150万円分の税金を戻してもらうことができます。

これを組み戻し還付と言います。

ただし、法人税のうち国税しかこの定めがないことや、大企業や大企業の子会社などの一部の会社は除かれます。

>>自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?

中小企業がわざと赤字決算にする3つのデメリット

中小企業 わざと赤字
わざと赤字にすることで考えられるデメリットとは?

1. 銀行の融資が受けにくくなる

赤字決算にすることで、銀行の融資を受けにくくなるというデメリットがあります。

赤字ということは利益が出ていないことを意味します。

つまり返すお金がないということなので、銀行はお金を貸したがりません。

将来の投資が膨らんだ結果などの、赤字の理由が説明できれば、金融機関の対応も異なります。

2. 社員や社長自身のモチベーションが下がる

赤字決算のデメリットとして、社員や社長自身のモチベーションが下がることも懸念されます。

頑張って稼いで利益を出すのが会社の目的です。

いくら給与をもらっていたとしても、赤字だから頑張る必要がなければモチベーションは上がりません。

社員の士気が下がることで、会社の成長に影響することも考えられます。

3. 会社が儲かってるのか儲かってないのかよくわからなくなる

会社が儲かっているのか儲かっていないのかわかりにくくなってしまうことも、赤字決算のデメリットです。

赤字になれば法人税は納付せずにすみますが、お金がなくなれば会社は倒産します。

わざと赤字にすることによって会社の状況を見誤ってしまうと、最悪倒産してしまうリスクもあるのです。

>>自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?

結局、中小企業はわざと赤字決算にするべきなのか?

中小企業 わざと赤字
中小企業はわざと赤字決算するべき?

会社の資金力に余裕があることが大前提ですが、

企業が成長するための投資をする場面では赤字になってもやむを得ないでしょう。

「これ以上投資したら赤字になる…」といって投資を躊躇してしまうと、その後のリターンを得ることができなくなってしまいます。

財務分析をしっかり行ったうえで、赤字になったとしても投資する場面では投資を継続すべきです。

わざと赤字決算にすべきでないケース

税金を支払いたくないという曖昧な理由で、自ら赤字にすることはおすすめできません。

前述したように、銀行融資が受けにくくなる、社員や社長のモチベーションが下がる、会社の業績がわからなくなるといったデメリットが大きく、

いつの間にか倒産してしまうことも考えられます。

わざと赤字にすることはたしかに経営戦略のひとつですが、安易に赤字決算を選ぶのではなく、利益を増やす方法を探りましょう。

自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?

 

このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、

「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」

という状況の方が多いかと思います。

  • まずは自力でなんとかしよう…
  • とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
  • 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…

↑こんなふうに考えながら、

コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。

ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、

少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。

なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、

税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。

(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)

注意してほしいのは、

税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。

事業や副業を始めて1年目〜3年目って、

事業者側も会計に慣れていなくて、

計算まちがいが生じていることって多いんですよね。

税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。

もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、

延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。

こういったリスクを避けるためにも、

「事業や副業を始めた最初の年度」から、

税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。

>>税理士費用の相場がいくらぐらいか?を知りたい人へ

うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)

(自力で税金計算!…は実は「超危険」です)

うちみたいな小さな規模のところには、

税理士なんてまだまだ早い…

↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。

私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。

「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。

ですが、小さい規模の事業者ほど、

事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。

(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)

なぜかというと、

あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。

税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。

(これは誇張ではなく、リアルな話です)

実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや

副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、

事業を始めてまもないころに、

勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、

数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)

を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。

税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。

利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。

ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、

何年後かにいきなり税務調査がきて、

ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。

なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。

(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)

すでに事業や副業をスタートしている人なら、

少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。

>>自社の近所で「最安値の税理士事務所」を知る方法

「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります

(節税対策や補助金活用で100万円以上のお金が返ってくることもあります)

 

税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、

使える補助金などの活用方法を教えてくれます。

利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、

「100万円以上も税金が安くなった…!」

なんてことも普通にありますよ。

創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。

(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)

節税対策や補助金を上手に活用できれば、

税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。

あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。

税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。

毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。

これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。

こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、

私たち事業者は売上を少しでも増やすことに集中しましょう。

税理士費用の相場とかよくわからない方へ

(無料の「税理士見積もりサイト」を使えば、超簡単に最安値の税理士事務所を検索できます)

「でも、税理士なんて知り合いにいないし、

そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」

↑とはいえ、こんなふうにお悩みの方も多いでしょう。

そんな方は、下記のような無料税理士見積もりサイトを使うのがおすすめです。

必要事項を入力して検索するだけで、

近隣で最安値の税理士事務所を知ることができますよ。

税理士料金の相場を把握し、最安値のところを見つけましょう。



>>税理士料金一括見積もりサイト(無料)

税理士って、地域によって料金相場がまったく違うので注意してください。

あなたの事業所の近所で開業している税理士事務所から、

まとめて見積もりを取って最安値の水準を知っておくことが大切です。

無料見積もりサイトなら、

顧問料金の相場や、ご自身の業種にあわせて税理士を検索できます。

  • 「税理士に依頼なんて生まれて初めて」
  • 「うちの事業規模で税理士に依頼していいものかな‥」
  • 「とりあえず見積もりだけもらって検討したいんだけど…」

という方も安心して使うことができますよ。

↓まずは無料で税理士の料金相場をチェックしてみてくださいね。

\ 成長レベルにあった税理士が見つかる!/

中小企業 わざと赤字
最新情報をチェックしよう!