- 売上が年1000万円ギリギリ以下なら消費税は払わなくていい?
- 消費税の納税義務が発生するタイミングは?
- インボイス制度で消費税の納税義務はどう変わる?
「節税対策として、年間の売上高は1000万円をギリギリ下回るのが理想」
このように聞いたことのある方も多いことでしょう。
たしかに、年間売上が1000万円を超えた場合に、課税事業者として消費税の納税義務が生じます。
事業者として販売に携わるのであれば、このような消費税納税義務のルールについて
最低限の知識を持っておかなければなりません。
この記事では、消費税の納税義務に関するルールや、インボイス制度によって消費税納税義務がどのように変化するのかなどについて解説します。
1000万円近い売上が見込めるようになった事業者や、これから事業を興そうと考えている方は、参考にしてみてください。
年間売上高が「1000万円ギリギリ」なら消費税の納税義務発生に注意
事業者として商売をしている人は、1年間の売上高の合計額が1000万円を超えると、
毎年消費税を納めないといけなくなります。
そのため「今年は年間売上高が1000万円を突破しそう…!」となったタイミングで、
消費税の節税対策を検討していく事業者が多いです。
(事業を法人化するなどの方法で、消費税の負担を大幅に減らすことができます)
消費税納税に関するルール
「年間売上高が1000万円を超えた年」の2年後から納税義務が発生
消費税の納税義務は、年間売上高が1000万円を超えた年の2年後から発生します。
しかし、売上高は年によって差があるため、売上高が下がっても消費税の納税義務があるのか、
どのタイミングで納税義務が生じるのか、わかりにくく感じる方もいることでしょう。
以下のようにケースを分けて、消費税納税義務の有無についてもう少し詳しく見ていきましょう。
ケース1:順調に売上高が増えた場合
例えばあなたの事業売上が
- 2023年:売上高1000万円(税抜)
- 2024年:売上高1100万円(税抜)
- 2025年:売上高1200万円(税抜)
と順調に増えていった場合、課税事業者になる年度は以下のとおりです。
- 2023年:免税
- 2024年:免税
- 2025年:納税義務あり
- 2026年:納税義務あり
- 2027年:納税義務あり
上のケースでは、2023年度の売上が1000万円を超えているため、
その「2年後」である2025年度からは、消費税を納めないといけません。
ケース2:売上高が1000万円ギリギリのラインで上下した場合
売上高が1000万円ギリギリのラインを上下した場合を想定してみましょう。
- 2023年:売上高1000万円(税抜)
- 2024年:売上高800万円(税抜)
- 2025年:売上高1200万円(税抜)
だった場合、課税事業者になる年度は以下のとおりです。
- 2023年:免税
- 2024年:免税
- 2025年:納税義務あり
- 2026年:免税
- 2027年:納税義務あり
この場合、2023年に売上高が1000万円を突破していますので、
その「2年後」である2025年には、消費税を納めないといけません。
しかし、その後2024年にいったん売上高が減って800万円になっています。
売上高が1000万円未満なら消費税は納める必要がありませんから、
2024年の「2年後」である2026年は消費税を納めなくてOKということになります。
さらに、その翌年である2025年は売上高1200万円で、また年間売上高1000万円を突破しました。
そのため、2025年の「2年後」である2027年はまた消費税を納めないといけなくなります。
ただし、上のケースで2026年に消費税の納税義務を免除してもらうためには、
「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出」という手続きをする必要があります。
何も手続きをしなかった場合、本来は納めなくてよい消費税を納める羽目になるので、注意してください。
消費税は「預かった金額」−「預けた金額」で計算して納税する
納める消費税は、
という計算式に則って計算します。
「消費税という税金が、事業者にとってどのぐらいの負担になるのか?」の具体的なイメージを持っておきましょう。
この場合の「預かった金額」とは「預かった消費税」、「預けた金額」とは「預けた消費税」という意味です。
例えば、年間の売上高が1000万円あったとしましょう。
この場合、1000万円の10%である100万円は「お客様から預かった消費税」ということになります。
これはあなたの収入ではなく、「ただ預かっているだけのお金」ですから、
お客様の代わりにあなたが国に納めなければなりません。
なお、当然ながらあなた自身もよそに支払いをした場合には、その相手に対して消費税を預けている状態になります。
例えば、仕入れ先から600万円で材料を仕入れた場合、
その10%である60万円は「仕入れ先業者に預けた消費税」ということですね。
消費税は「お客様から預かった消費税」から「仕入れ先などに預けた消費税」を差し引いた金額を納税するのがルールです。
なので、上のケースで最終的にあなたが納める消費税は、
ということになります。
会社の年間売上高が1000万円で、粗利率が40%程度だった場合、
納める消費税は年間で40万円というわけですね。
個人事業主も法人も関係なし
消費税の納税義務のルールについては、事業を「個人事業主」として営んでいる人も、
株式会社など「法人」として営んでいる人も共通です。
法人であっても個人であっても、年間の売上高が1000万円を超えたら、
受け取った消費税は国へ納めなければなりません。
特に個人事業主の場合、お客様から預かったはずの消費税を事業資金や給料に充ててしまい、
消費税を納税できないというケースが稀にあります。
年間売上高が1000万円に近づいてきたら、納めるべき消費税についても意識するようにしましょう。
年間の売上高が1000万円ギリギリのラインなら決算は慎重に行うべし
もしあなたの事業売上が1000万円ギリギリである場合は、慎重に決算を行うべきです。
なぜなら課税事業者になるかならないかで、手元に残るお金が大きく変わってくるからです。
課税事業者になった場合、売上から得た消費税額から経費で払った消費税を引いた額を納税する必要があります。
しかし、免税事業者であれば消費税を納税する必要がありません。
言い換えると、決算数値を正確に判断しなければ、消費税納付額分損をすることになるのです。
例えば、決算間近の売上があるなら取引先と相談して翌期の売上とするなど、
年間売上を1000万円以下にする対策をとるべきでしょう。
最近よく聞く「インボイス制度」とは?
インボイス制度というのは、ものすごく簡単にいうと
という新しいルールです。
シンプルにいえば、消費税を取りやすくするための新ルールということですね。
インボイス制度に登録したら何がどう変わるの?
インボイス制度に登録をすると、2023年度を含む事業年度から課税事業者となります。
また、登録をした段階で「適格請求書発行事業者番号」が発行され、
以降はこの番号を記載したうえで請求書を出さなければなりません。
事業者番号が記載された請求書を受け取った企業側は、その請求書の支払いに対して払った消費税を会計に計上することができます。
反対に、請求書に適格請求書発行事業者番号がない場合は、消費税計算時に消費税を差し引く計算をすることができません。
冒頭でもお伝えしたとおり、消費税は受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた金額を納税します。
つまり、せっかく消費税を支払ったのに、支払先の業者がインボイス登録をしていなかったせいで、
支払い元は消費税額分払い損になる可能性があるということです。
したがって、インボイス制度に登録しなかった場合、取引先に消費税の請求をできなかったり、
そもそも取引先が登録事業者以外との取引をやめ、契約自体が解消してしまったりといったことも考えられます。
取引先との取引をなくさない為にも、基本的にはインボイス制度へは登録をすべきです。
ただし、インボイス制度へ登録するメリットが小さい事業も一部あります。
例えば、不動産の大家さんなどの場合、受け取る家賃には消費税がかかっていないため、
インボイス制度に加入するメリットはあまりありません。
なお、生活用賃貸ではなく事務所貸し・販売店舗貸しの場合は、受取家賃に消費税が含まれているのでご注意ください。
自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?
このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、
「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」
という状況の方が多いかと思います。
- まずは自力でなんとかしよう…
- とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
- 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…
↑こんなふうに考えながら、
コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。
ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、
少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。
なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、
税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。
(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)
注意してほしいのは、
税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。
事業や副業を始めて1年目〜3年目って、
事業者側も会計に慣れていなくて、
計算まちがいが生じていることって多いんですよね。
税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。
もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、
延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。
こういったリスクを避けるためにも、
「事業や副業を始めた最初の年度」から、
税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。
うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)
うちみたいな小さな規模のところには、
税理士なんてまだまだ早い…
↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。
私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。
「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。
ですが、小さい規模の事業者ほど、
「事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。
(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)
なぜかというと、
あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。
税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。
(これは誇張ではなく、リアルな話です)
実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや
副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、
事業を始めてまもないころに、
勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、
数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)
を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。
税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。
利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。
ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、
何年後かにいきなり税務調査がきて、
ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。
なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。
(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)
すでに事業や副業をスタートしている人なら、
少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。
「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります
税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、
使える補助金などの活用方法を教えてくれます。
利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、
「100万円以上も税金が安くなった…!」
なんてことも普通にありますよ。
創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。
(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)
節税対策や補助金を上手に活用できれば、
税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。
あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。
税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。
毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。
これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。
こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、
税理士費用の相場とかよくわからない方へ
「でも、税理士なんて知り合いにいないし、
そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」
↑とはいえ、こんなふうにお悩みの方も多いでしょう。
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税理士って、地域によって料金相場がまったく違うので注意してください。
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