- 所得税と源泉所得税の違いって何?
- 納付期限はそれぞれ違う?納期の特例って何?
- 税額の計算方法は違う?給料や報酬からの天引きはどうやるの?
日本の税金の仕組みってものすごく難しいですよね。
特にまちがえやすいのが「所得税」と「源泉所得税」の違いです。
なんとなく言葉は聞いたことがあるけど、意味はいまいちよくわからない…。
と感じている方はきっと多いのではないでしょうか。
この記事では、所得税と源泉所得税の意味の違いを簡単にわかりやすく解説します。
税額の計算方法や納付方法、納める期限などについても説明していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
所得税?源泉所得税?基本的な言葉の意味を解説!
1. 所得税とは
所得税は、個人の所得に応じて納めなくてはいけない税金のことです。
自営業者の方の場合、売上から経費を差し引きした利益(所得)に対して、税率を掛け算するかたちで計算します。
(実際の計算方法はもう少し複雑ですが、ここではおおまかに理解しておいていただけばOK)
サラリーマンやパートの方の場合は、会社から受け取った給料の金額から「給与所得控除」という金額を差し引きして所得額を求め、
そこに税率を掛け算して所得税額を求めます。
なお、サラリーマンやパートの方の場合、
年収が103万円を超えない場合には所得税は発生しないことになっています。
所得税の金額はどうやって決まる?
所得税額は、1月1日〜12月31日までの所得に、所得控除や税額控除などを反映させて確定します。
個人事業主は「確定申告」という手続きで所得税額が決定します。
これは毎年2月16日〜3月15日の1ヶ月間に手続きを行わないといけません。
一方で、サラリーマンやパートの方は、勤務先の会社に「年末調整」という手続きをしてもらうことで所得税の計算と納付を行います。
(年末調整は毎年末ごろ行います)
所得税の納付期限は?
個人事業主など確定申告をしている人は、
毎年2月16日〜3月15日の確定申告受付期間中に納付しなくてはいけません。
もし事前に口座振替を設定しているなら、4月下旬頃に振替となります。
また、会社員は12月支給分または翌年1月支給分の給与で調整・精算されることが多いです。
2. 源泉所得税とは
ここまでは「所得税」の意味について説明してきました。
それでは「源泉所得税」とはなんでしょうか?
ごく簡単にいうと、これは「所得税」の前払いのことです。
1年分の所得税を、12ヶ月で割って「源泉所得税」として毎月納めていくイメージですね。
このように書くと「自分は毎月税金なんて納めてないけど…?」と不安に思われた方もおられるかもしれませんが、心配はありません。
サラリーマンの方の場合、あなたの源泉所得税は、
あなたの勤務先の会社が給料から天引きし、あなたに代わって国に毎月納めてくれています。
日本人のほとんどはサラリーマンですので、全員が毎月税金を納めていたら大変です。
なので、勤務先の会社がまとめて処理をするしくみになっているのです。
(こういう仕組みのことを「源泉徴収制度」と読んだりもします)
源泉所得税は「所得税」を毎月前払いするもの
上で見たように、「源泉所得税」は「所得税」を12ヶ月で割って、毎月前払いしていくイメージです。
(あくまでもイメージですので、正確なルールは異なりますが、ここでは大まかに理解してもらえばOKです)
ただ、所得税というのは上でもみたように「1年間で得た所得から計算するもの」です。
当然ながら年末にならないと正確な金額は計算できないことになります。
なので、ごくおおまかな金額を「源泉所得税」として前払いしていき、
年末段階で正確な所得金額を計算し、差額を精算するというしくみになっているのです。
源泉所得税計算の具体例
例えば、毎月1万円の「源泉所得税」を12ヶ月間にわたって納めたとしましょう。
この場合、1年間で納めた合計額は12万円になりますね。
(毎月1万円 × 12ヶ月=12万円です)
ところが、年末になった段階で正確な「所得税」を計算したら、10万円だったとします。
この場合、2万円だけ「納めすぎ」の状態になっていることになりますよね。
(源泉所得税12万円 − 所得税10万円=2万円)
納めすぎた税金は、返してもらわなくてはいけません。
そのため、確定申告や年末調整といった手続きで国からお金を返してもらうのです。
サラリーマンの方の場合、年末12月のお給料か、翌年1月のお給料はちょっといつもより多くて「あれ?」と思われた経験がある方も多いと思います。
これは、上で見たような「納めすぎた税金」がお給料にプラスされて戻ってきているからなのです。
業種によっては個人事業主も源泉徴収される?
上で説明した「源泉徴収制度」の仕組みは、基本的にサラリーマンやパートの方に適用されるルールです。
ただし、一定の業種を営んでいる方(デザイナー・ライター・税理士など)の場合、個人事業主でも源泉徴収制度の対象になることを覚えておきましょう。
源泉徴収制度の対象となる業種は「所得税法第204条」という法律で決まっています。
ライターや小説家の原稿料、デザイナーのデザイン報酬、モデルさんの報酬、プロ野球選手の報酬など8種類の業種があります。
源泉所得税の納付期限は?
源泉所得税は、報酬の支払日の翌月10日までに納付するのが原則です。
例えば、4月分の給与支払日が5月25日の場合は、
5月25日に源泉徴収し、6月10日までに納付します。
4月中に撮影したモデル報酬を5月末日に支払った場合は、
5月末日に源泉徴収して6月10日までに納付するということになりますね。
ただし、給与の支給人数が常時10人未満のときは、事前に届けて承認を得られれば、
特例として年2回にまとめて納付できるようになります。
この場合は、1月~6月の源泉徴収額を7月10日までに、
7月〜12月の源泉徴収額を翌年1月20日までに納付すれば大丈夫です。
所得税の計算方法
所得税は、課税所得金額に所得税率を掛け、税額控除を引いて計算されるものです。
課税所得金額は、所得金額から基礎控除、配偶者控除などの各種所得控除を差し引けば計算できます。
具体的には、「所得金額-所得控除」でまず課税所得金額を求めましょう。
次に、「課税所得金額×税率-税額控除」をすれば所得税が計算できますよ。
ちなみに、所得税率は所得に応じて異なり、5%から45%の範囲で7段階に区分されています。
源泉所得税の計算方法
給与等の源泉所得税
給与等から源泉徴収する所得税額は、所得税法の「源泉徴収税額表」から求めます。
「月給制」「日払いまたは週払い」「賞与」のどれかによって、
さらに扶養家族の有無によっても異なってくるシステムです。
外部の個人事業主に払った報酬
原稿料やデザイン料、弁護士報酬など、個人事業主に報酬を支払った場合は、
基本的に報酬額の10.21%が源泉所得税額です。
ただし、同一の個人事業主に対して1回に100万円以上を支払った場合は、
超えた部分の税率は20.42%に上がります。
自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?
このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、
「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」
という状況の方が多いかと思います。
- まずは自力でなんとかしよう…
- とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
- 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…
↑こんなふうに考えながら、
コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。
ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、
少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。
なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、
税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。
(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)
注意してほしいのは、
税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。
事業や副業を始めて1年目〜3年目って、
事業者側も会計に慣れていなくて、
計算まちがいが生じていることって多いんですよね。
税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。
もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、
延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。
こういったリスクを避けるためにも、
「事業や副業を始めた最初の年度」から、
税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。
うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)
うちみたいな小さな規模のところには、
税理士なんてまだまだ早い…
↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。
私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。
「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。
ですが、小さい規模の事業者ほど、
「事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。
(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)
なぜかというと、
あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。
税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。
(これは誇張ではなく、リアルな話です)
実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや
副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、
事業を始めてまもないころに、
勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、
数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)
を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。
税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。
利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。
ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、
何年後かにいきなり税務調査がきて、
ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。
なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。
(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)
すでに事業や副業をスタートしている人なら、
少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。
「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります
税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、
使える補助金などの活用方法を教えてくれます。
利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、
「100万円以上も税金が安くなった…!」
なんてことも普通にありますよ。
創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。
(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)
節税対策や補助金を上手に活用できれば、
税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。
あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。
税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。
毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。
これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。
こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、
税理士費用の相場とかよくわからない方へ
「でも、税理士なんて知り合いにいないし、
そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」
↑とはいえ、こんなふうにお悩みの方も多いでしょう。
そんな方は、下記のような無料税理士見積もりサイトを使うのがおすすめです。
必要事項を入力して検索するだけで、
近隣で最安値の税理士事務所を知ることができますよ。
税理士料金の相場を把握し、最安値のところを見つけましょう。
税理士って、地域によって料金相場がまったく違うので注意してください。
あなたの事業所の近所で開業している税理士事務所から、
まとめて見積もりを取って最安値の水準を知っておくことが大切です。
無料見積もりサイトなら、
顧問料金の相場や、ご自身の業種にあわせて税理士を検索できます。
- 「税理士に依頼なんて生まれて初めて」
- 「うちの事業規模で税理士に依頼していいものかな‥」
- 「とりあえず見積もりだけもらって検討したいんだけど…」
という方も安心して使うことができますよ。
↓まずは無料で税理士の料金相場をチェックしてみてくださいね。
\ 成長レベルにあった税理士が見つかる!/