- 個人事業主は生活費を経費で落とせるの?
- 経費で落とせる生活費と、落とせない生活費の違いは?
- 家事按分(かじあんぶん)って何?しないと税務調査がくるって本当?
自営で仕事をしている人を見ていると、よく「これは経費で落とせるから…」的なことを行っていることをよく聞きますよね。
この記事では生活費を経費で落とすことでどういうメリットがあるのか?や、
税務調査で指摘されないための「家事按分(かじあんぶん)」の考え方をお教えします。
経費で落とせる生活費の具体例も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「生活費を経費で落とす」についての基本的な考え方
生活費は、プライベートな支出になるので基本的に経費にはなりません。
しかし、個人事業主は、業務に関わる生活費の支出を「必要経費」として落とせます。
- 営業のために電車やバスを利用した→OK
- お盆休みに帰省するために電車に乗った→NG
- 得意先を接待するために食事に行った→OK
- 友達や家族と食事に行った→NG
- 筆記用具やコピー用紙を購入した→OK
- 赤ちゃんのオムツやペットフードを購入した→NG
このように同じ支出でも目的が違えば経費として落とせます。
「業務と関係ない支出」を経費にしたらどうなる?
業務とは関係無い支出を経費に計上すると、以下の2つが考えられます。
- ペナルティが課される
- 社会的な信用度が下がる
1. ペナルティが課される
個人事業主にも税務調査は入ります。
調査官に経費を否認された場合、所得税の不足分に加え、過少に申告したことに対するペナルティも課されることがあります。
ペナルティは以下の通りです。
- 不足分の所得税の10%
- 事実を隠蔽した場合は35%
- 発覚するまでの期間分の延滞金として年2.7%
悪質だと判断された場合、最悪のケースとして毎年のように税務調査が入ります。
2. 社会的な信用度が下がる
事業資金が足りないことになると、銀行からお金を借りたいときに、融資が通らなくなります。
引越しや不動産契約の際に、審査が通らなくなることもあります。
なんでも経費にすると税金対策になるかもしれませんが、今後の事業に悪影響を及ぼす可能性があることを覚えておきましょう。
家事按分(かじあんぶん)とは
生活費を経費で落とす方法についてみてきましたが「どこまで経費にできるのか?」がちょっとわかりづらいと感じた人も多いかもしれませんね。
事業に関わる光熱費や移動費などの生活費は、プライベートと事業との割合を分ける家事按分(かじあんぶん)という作業をすると、経費として落とせる場合があります。
「家事按分(かじあんぶん)」とは、支出の種類ごとにルールを決めて、経費にする分とプライベートとで分ける作業のことです。
個人事業主は、ひとつの支出が事業とプライベートの両方に関わってきますよね。
たとえば、事業とプライベート兼用で使っている携帯電話の料金で考えてみましょう。
多少なりとも家族や友人と電話したり、メールしたりしているものです。
このような両方の側面を持つ支出を「家事関連費」といいます。
家事按分は、この家事関連費から経費を抜き出す際の作業なんです。
事業割合を求める
家事按分をする際は、事業割合を求めましょう。
まずは、使用時間・使用量・使用面積・走行距離など、客観的なものを計算根拠にします。
事業割合の決め方はいくつかありますが、一番大切なのは、税務調査官を納得させられる根拠があるかどうかです。
たとえば、家賃の事業割合を決める際は、部屋の図面のコピーに事業で使用している部分が分かるようペンで色付けしておくとよいでしょう。
合わせて、「80㎡のうち20㎡を事業で使用しているため、事業割合は20㎡÷80㎡=25%」
などと記載しておきます。
調査官に「家賃の事業割合の計算根拠は何ですか?」と聞かれた際に図面を出しましょう。
「この色付けした部分を事業で使用しています。80㎡のうち20㎡を事業で使用しているため、事業割合は20㎡÷80㎡で25%です」と自信を持って答えられますね。
1度決めた基準を継続することが重要!
1度決めた事業割合と計算方法は正当な理由が無い限り、毎年継続して適用します。
「昨年は使用量で計算したけど、今年は使用時間の方が有利そうだから変更しよう」などと変更できるものではありません。
事業割合と計算方法が毎年変更できてしまうと、意図的に経費を増やす調整が可能になってしまいます。
この点を税務調査の際に指摘されてしまうと、調査官からの印象が悪くなります。
1度決めた基準は継続するようにしましょう。
生活費で落とせる経費8選
生活費で落とせる経費はどんなものがあるのでしょう。
こちらでは生活費で落とせる経費の例8つを紹介します。
事業割合の例も記載しているので、家事按分の参考にしてください。
- 電気料金
- 通信費
- 車にかかる費用
- 家賃
- 消耗品費
- 日用品(スーパーやコンビニでの買い物)
- 洋服代(仕事用のスーツ代など)
- 会議費と交際費
1. 電気料金
電気料金は、経費として落とせる生活費になります。
個人事業主は、見積書や請求書の発送事務を自宅兼事務所で作業されていますよね。
パソコンを使ってリモートワークしている方も多いと思います。
電気の使用量を見積もって事業割合を設定しましょう。
たとえば、週に平均30時間ほど自宅兼事務所で作業して、週に平均70時間ほどプライベートな時間を過ごすとします。
業務とプライベート合わせて電気使用時間は、週に30時間+70時間で100時間です。
事業割合は30時間÷100時間で計算して30%となります。
2. 通信費
携帯電話の利用料金は、どのくらい使用したか時間で家事按分するのが望ましいです。
自宅兼事務所のインターネット回線の利用料金も使用の程度を見積もって事業割合を設定しましょう。
たとえば、インターネット回線を週に平均30時間ほど業務で使用して、プライベートでも週に平均30時間ほど使用するとします。
業務とプライベート合わせて、通信時間は週に30時間+30時間で60時間です。
事業割合は30時間÷60時間で計算して50%となります。
3. 車にかかる費用
個人事業主の場合、1台の車を業務とプライベートの両方で使用している方も多いですよね。
なので、車にかかる費用も経費にできます。
法人名義の場合は、業務で使用することが前提ですので按分作業はありません。
しかし、個人名義である以上、「事業割合100%です!プライベート利用はありません!」
と言い切ることって難しいですよね。
よって車にかかる費用の事業割合を求める必要があります。
まずは、タイムズなど一時的にとめる駐車場ですね。
営業車として車に乗った日の駐車場代は、その全額を経費に計上して問題ありません。
ガソリン代は業務とプライベート両方の側面を持つので、事業割合を使いましょう。
業務で1週間のうちに何日乗るか、で考えると手軽に計算することができますね。
1週間のうち業務使用が1日の場合は、1日÷7日で14%と設定することができます。
減価償却費・車検費用・自動車保険も、ガソリン代で設定した事業割合を使い経費計上が可能です。
4. 家賃
仕事部屋や倉庫として商品を置いている場合など、業務使用の面積を按分して家賃を経費として落とせます。
大まかな面積ではなく、「この部分が業務使用です」とはっきり答えられるようにしましょう。
たとえば、部屋の図面のコピーに、事業で使用している部分が分かるようペンで色付けしておくとよいです。
合わせて、「80㎡のうち20㎡を事業で使用しているため、事業割合は20㎡÷80㎡=25%」
などと記載しておくことをおすすめします。
5. 消耗品費
筆記用具やコピー用紙を購入した場合は「消耗品費」として経費で落とせます。
計上できないものは、赤ちゃんのオムツやペットフードなどです。
誰が見てもあきらかにプライベート用品なので、うっかり混ざらないようにしましょう。
6. 日用品(スーパーやコンビニでの買い物)
スーパーやコンビニで打ち合わせのためのお茶を購入する、などの業務に必要な日用品は経費計上が可能です。
「明らかに夕飯のおかずだよね?」とつっこまれる内容の日用品はNGです。
7. 洋服代(仕事用のスーツ代など)
洋服代は生活費として経費で落とせますが、税理士に質問しても意見が分かれるほど、難しい内容になります。
たとえば、店舗の皆でお揃いのエプロンやユニフォームを購入した場合は経費計上が可能です。
私の実体験ですが、過去に税務調査でスーツ代を指摘されたことがあります。
購入したのは50万円ぐらいの白で派手なスーツでした。
スーツの持ち主は当時セミナー運営をしていたので、私はセミナーに登壇する時用の衣装だと言い張りました。
これはパフォーマンスのための必要経費なんだと…。
「こんなダサいスーツ、普段着な訳無いじゃないですか!」と強気で言いました。
スーツの持ち主にはあらかじめ「不本意ですが、こう反論します」とお伝えしてありました。
なんとか否認されずに済みましたが、税務調査で指摘されやすいのでスーツ代の計上はおすすめできません。
8. 会議費と交際費
会議の際の資料作成費用、飲み物などの代金は「会議費」として、得意先との接待代、慶弔費やお中元代は「交際費」として計上が可能です。
ですが、接待の飲食代も1人あたり5,000円以下の場合、会議費として計上できるルールがあります。
資本金1億円を超えない中小企業や個人事業主などは、交際費が年間800万円を超えると経費に計上できません。
会議費は全額経費に計上できるので、法人や個人事業主の方は飲食代を会議費で計上すると節税になります。
得意先の社員2名とご自身の合計3人で食事して12,000円だった場合、1人当たり4,000円なので会議費となりますね。
しかし、5000円以下の会議費を計上するには以下を証明できる領収書などが必要です。
- 飲食した年月日
- 参加人数
- 取引先と自社の関係性
- 飲食代金
- 飲食店の名前と住所
こういった縛りがあるので、税務調査の際にも会議費で計上している内容を怪しまれることがあります。
誰と何人で食事をしたのか、即座に応答できるように領収書の裏にメモ書きすることを忘れないようにしましょう。
自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?
このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、
「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」
という状況の方が多いかと思います。
- まずは自力でなんとかしよう…
- とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
- 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…
↑こんなふうに考えながら、
コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。
ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、
少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。
なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、
税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。
(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)
注意してほしいのは、
税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。
事業や副業を始めて1年目〜3年目って、
事業者側も会計に慣れていなくて、
計算まちがいが生じていることって多いんですよね。
税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。
もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、
延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。
こういったリスクを避けるためにも、
「事業や副業を始めた最初の年度」から、
税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。
うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)
うちみたいな小さな規模のところには、
税理士なんてまだまだ早い…
↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。
私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。
「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。
ですが、小さい規模の事業者ほど、
「事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。
(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)
なぜかというと、
あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。
税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。
(これは誇張ではなく、リアルな話です)
実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや
副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、
事業を始めてまもないころに、
勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、
数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)
を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。
税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。
利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。
ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、
何年後かにいきなり税務調査がきて、
ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。
なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。
(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)
すでに事業や副業をスタートしている人なら、
少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。
「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります
税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、
使える補助金などの活用方法を教えてくれます。
利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、
「100万円以上も税金が安くなった…!」
なんてことも普通にありますよ。
創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。
(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)
節税対策や補助金を上手に活用できれば、
税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。
あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。
税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。
毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。
これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。
こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、
税理士費用の相場とかよくわからない方へ
「でも、税理士なんて知り合いにいないし、
そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」
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