- 何年も確定申告をしていない個人事業主は、どうなるの?
- 税務調査がきたり、税金を払う必要があったりする?
- リスクを回避するためには、どう対処したらいい?
確定申告というと「難しい」「面倒くさい」などというイメージがあり、
ちょっと腰が重たいと思ってしまうような作業ですよね。
そしてついつい「たいした収入じゃないから、申告しなくてもバレないし」
なんて考えてしまう人も、なかにはいますよね。
では、何年も確定申告してない個人事業主は、そのままで大丈夫なのでしょうか?
この記事では、FP2級の資格を持ち個人事業主の確定申告に携わっている筆者が、
個人事業主が何年も確定申告を行わないリスクや対処法を解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
何年も確定申告してない個人事業主はどういうリスクがある?
1. 税務調査のリスク(小さい自営業でも普通にくるよ)
何年も確定申告せずに放置していると、
税務署から「税務調査」がやってくる可能性があります。
「うちみたいに細々と事業をやっている店に税務調査は来ない」と思っている方も、
ひょっとしたらいるかもしれません。
しかし実際のところ、小さなお店や小規模の事業主にも税務調査は行われています。
「今年は飲食業界が狙い撃ち」みたいに、
特定の業種業界の調査が重視されるみたいな年もあり、
たとえこちら側になんら落ち度がなくても、税務調査はやってくるのです。
税務調査の結果として申告漏れが発覚した場合には、
- 延滞税
- 加算税
といったかたちで、多くのお金を持っていかれてしまいます。
小さなお店や個人事業でも、税務調査のリスクは常にあることを知っておいてくださいね。
2. 延滞税や加算税が課せられるリスク
税務調査が入り、結果次第では以下のような追徴金が課せられます。
- 延滞税(納付日を過ぎた日数に応じてかかる罰金)
- 無申告加算税(確定申告をしていなかったことによる罰金のようなもの)
それぞれの計算方法は以下の通りです。
延滞税の計算方法
納付すべき本税の額×延滞税の割合×日数÷365
申告期限の翌日から2ヶ月以内とそれ以降では、延滞税の割合が変わります。
最新の延滞税の割合は、国税庁のホームページで確認可能です。
※国税庁のホームページはコチラです
無申告加算税の計算方法
- 納税額が50万円までは15%
- 納税額が50万円を超える部分には20%
の割合となります。
例えば、令和4年分の納付額100万円の確定申告を6ヶ月延滞した場合、下記のようになります。
【延滞税】①+②
<申告期限から2ヶ月以内の分>
100万円×2.4%×60日÷365=3,945円・・・①
<申告期限から2ヶ月以降の分>
100万円×8.7%×120日÷365=28,602円・・・②
延滞税合計(①+②):32,547円
【無申告加算税】
<50万円までの分>
50万円×15%=75,000円・・・③
<50万円を超える分>
50万円×15%=100,000円・・・④
無申告加算税(③+④):175,000円
期限を6ヶ月過ぎただけでも所得税100万円の納付に加えて、
約20万円の延滞税や無申告加算税の支払いが必要となります。
税務調査で申告していないことが発覚した場合は延滞期間が長くなるので、
さらに追徴金が高くなります。
期限が過ぎていたとしても、なるべく早く自主的に申告を行うことが重要です。
3. 収入を証明できるものがない
個人事業主の場合は、確定申告書が収入証明になります。
確定申告をしていないと、公的に収入を証明するものがありません。
そのため、以下のようなときに困ってしまいます。
- 住宅ローンなどの借入をするとき
- 子どもを保育園に入れたいとき
- 子どもの奨学金申請をするとき
- 事業拡大のために借り入れをしたいとき
銀行は収入証明がないと返済能力がないと判断し、お金を貸してくれません。
子どもがいる場合は、
- 保育園に入れたいとき
- 奨学金の申請時
にも収入証明が必要です。
該当する人は、必ず確定申告をしておきましょう。
税務調査がくるきっかけってどんなこと?
税務署の職員は、いろいろなところで情報を集めて、
「確定申告をしていない個人がいないか?」を探してきます。
例えば、税務調査は以下のような情報がきっかけで行われることがあります。
- 取引先が発行した支払調書
- 仕事関係者の税務調査
- 関係者からのタレコミ
取引先が発行した支払調書や仕事関係者の税務調査で、
自分のところにまで税務調査が及んでくるというのはよくある話です。
1つのところに調査が入れば、その関係先との取引履歴などがすべて確認されます。
調査の中で「その関係先も怪しい」となれば、
関係先にも芋づる式に税務調査を行うことがあるのです。
他にも、関係者からのタレコミで税務調査が行われるケースもあります。
国税庁のホームページには、「課税・徴収漏れに関する情報の提供」
というページがあり、誰でも情報提供ができるのです。
※国税庁のホームページはコチラです
確定申告に時効はない…無申告状態から抜け出すには?
無申告状態から抜け出すには、まず税理士に相談しましょう。
確定申告には、時効がありません。
申告をしていない期間が長くなればなるほど、税務調査のリスクも上がり、
追徴金も高額となっていきます。
また、期限後の申告は、税務調査に繋がることが多いので慎重な対応が必要です。
まずは税理士に相談して、期限が過ぎていても確定申告が必要かどうか、
必要な場合はどういう手順で進めていくかを相談しましょう。
以下のような人は、すぐにでも税理士に相談することをおすすめします。
- 確定申告のやり方がわからないから放置していた
- いつかやろうと思っているが、月日が経ってしまった
- そもそも申告が必要かわからない
早めに税理士に相談し、安心して事業を続けていけるようにしましょう!
自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?
このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、
「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」
という状況の方が多いかと思います。
- まずは自力でなんとかしよう…
- とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
- 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…
↑こんなふうに考えながら、
コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。
ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、
少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。
なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、
税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。
(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)
注意してほしいのは、
税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。
事業や副業を始めて1年目〜3年目って、
事業者側も会計に慣れていなくて、
計算まちがいが生じていることって多いんですよね。
税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。
もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、
延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。
こういったリスクを避けるためにも、
「事業や副業を始めた最初の年度」から、
税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。
うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)
うちみたいな小さな規模のところには、
税理士なんてまだまだ早い…
↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。
私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。
「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。
ですが、小さい規模の事業者ほど、
「事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。
(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)
なぜかというと、
あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。
税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。
(これは誇張ではなく、リアルな話です)
実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや
副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、
事業を始めてまもないころに、
勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、
数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)
を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。
税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。
利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。
ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、
何年後かにいきなり税務調査がきて、
ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。
なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。
(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)
すでに事業や副業をスタートしている人なら、
少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。
「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります
税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、
使える補助金などの活用方法を教えてくれます。
利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、
「100万円以上も税金が安くなった…!」
なんてことも普通にありますよ。
創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。
(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)
節税対策や補助金を上手に活用できれば、
税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。
あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。
税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。
毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。
これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。
こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、
税理士費用の相場とかよくわからない方へ
「でも、税理士なんて知り合いにいないし、
そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」
↑とはいえ、こんなふうにお悩みの方も多いでしょう。
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