- 確定申告してない人は多い?
- しないとどんなリスクやペナルティがあるの?
- 確定申告をしなくていいときもある?
「確定申告」という言葉はよく聞くけれど、実はあまりよく知らない、
という人も多いですよね。
確定申告はしなければならないものですが、なかにはしてない人もいます。
では確定申告しない場合の条件や無申告のリスク・ペナルティは、
どんなものがあるのでしょうか?
関西地域の所轄署・管理徴収部門に専門職として働いていた経験を活かし、
確定申告について、わかりやすく解説していきます。
確定申告について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後、国税専門官採用試験に合格。大阪国税局に採用され関西の税務署管理徴収部門で5年間勤務したあと、民間企業(税理士事務所)に転職しました。現在は約20件の中小企業の経営者さんをクライアントに会計や税務のアドバイスをしています。税務調査を「やる側」だった経験を活かして、税務調査対策や節税のコツを解説するライターとしても活動しています。
確定申告してない人は多い?リスクやペナルティを解説
国税庁のホームページで「令和3年分の所得税等などの確定申告状況」が公表されています。
このデータによると、確定申告しているのは、日本人全体の6人に1人程度になっています。
サラリーマンは特別な場合以外は確定申告ではなく年末調整という手続きで税金を納めますので、確定申告をするのは自営業者や副業で儲かったケースが大半です。
また、実際の確定申告は「還付申告(税務署から払い過ぎた税金を返してもらうケース)」が多く「納税のための申告」はかなり少ないんですね。
(つまり「確定申告をしていない人」はとても多い)
ただ、確定申告の義務があるのにしなかった場合、後で見るように重いペナルティ(延滞税や加算税)がついてきます。
税務署はものすごく細かいところまでチェックしてきますので、確定申告はきちんとしておくことをおすすめします。
そもそもそれほど難しい手続きでもないですし、安い値段で代行してくれる専門家もたくさんいますからね。
確定申告には大きく分けて2種類ある
↓確定申告とひと口にいっても、おおまかに分けると2種類あります。
- 還付申告(税務署からお金を返してもらう)
- 納税のための申告(税務署にお金を納める)
1.の還付申告は、税務署からお金を返してもらうための確定申告です。
この還付申告をしない場合、「本来は返してもらえるはずのものが返してもらえない」ので、当然ながら損をすることになります。
納税のための申告は、「本来、必ずしないといけないこと」です。
国民の義務として行うべき手続きですから、しない場合にはペナルティ(延滞税など)が課されてしまいます。
もっとも、納税額がとても少ないような場合には、確定申告しなくても実質的にはなんのデメリットもでないケースはあります。
無申告リスク1. 税務調査がきて結局は支払うお金が増える
確定申告をしないといけないのに、しなかった場合には、税務署が「税務調査」というかたちであなたの事業所や自宅を調べにくる可能性があります。
「うちみたいに小さいところに税務調査なんて…」と思われる方も多いかもしれませんが、税務調査はごく当たり前のようにやってくることがあるので、注意が必要です。
税務調査の結果、確定申告の義務があるのにしていないことが発覚した場合には、ペナルティが課せられる可能性があります。
↓ここでいうペナルティには、大きく分けて以下の2種類があります。
- 延滞税
- 加算税
それぞれの内容について、ごく簡単に説明させていただきます。
延滞税
延滞税とは、お金を借りた時に払う利息のようなものです。
- 本来納めないといけない税額=借金
- 延滞税=利息
↑みたいなイメージですね。
申告期限から過ぎた1日目から計算されるので注意が必要です。
↓延滞税の計算のやり方は以下のように日割り計算で行います。
申告期限を過ぎた場合、
- 本来の納付日〜2ヶ月間:年率7.3%
- 2ヶ月以降:年率14.6%
例えば、納めるべき税金が10万円で、これを本来の納付日である12月31日に納めなかったとしましょう。
そして、最終的に翌年の10月末に納めたとします。
この場合、納付日から2カ月間の延滞税の利率は年率7.3%、
それ以降8ヶ月間の延滞税の利率は年率14.6%となります。
そのため、納める延滞税は以下のように計算できます。
(正確な計算はちょっと異なりますが、ここではおおまかにイメージで理解しましょう)
- 10万円×7.3%×2ヶ月÷12ヶ月=約1200円
- 10万円×14.6%×8ヶ月÷12ヶ月=約9700円
- 合計=1200円+9700円=約1万900円
10万円の税金の納付が10ヶ月遅れただけで、延滞税が1万900円もつきます。
もし税額がもっと大きく(例えば100万円)、
延滞した期間がもっと長かった場合(例えば5年=60ヶ月)
ものすごい金額の延滞税を納めることになってしまいます。
加算税
加算税は、「確定申告をしなかったことへの罰金」として支払うペナルティです。
↓加算税にはいくつか種類があり、確定申告をしなかった場合に課される可能性があるのはこの2つです。
- 無申告加算税:15%
- 重加算税:35%
(↑どちら1つが課せられます)
重加算税は「悪質なケース」に課せられるペナルティということになっていますが、無申告は多くのケースで「悪質なケース」と判断される傾向があります。
35%ものペナルティは、一般企業がやったら犯罪になるレベルの高利率ですね。
本来納める税金が10万円だったとすると、3万5000円を納めないといけません。
これに上でみた「延滞税」も日割計算で上乗せされることになりますから、大変な負担です。
無申告リスク2. 副業が会社にバレる?
副業をしている人は毎年確定申告しなければなりませんが、
隠していたら、いつか必ず会社にバレます。
別のところから収入を得ているということは、
その収入を支払っている人が「この人(あなた)に対してこれだけのお金を払っている」と申告しているはずだからです。
(あなたにお金を払っている人からすると、これをしないとあなたへの支払いを経費として処理することができません)
提出された申告書は、たとえ所轄署が異なっていても、データ資料は共有できます。
申告せず隠していたら、税務署の資料やリーク情報などから税務調査が入る仕組みです。
「会社にバレないだろう」という考え方は、禁物ということです。
無申告リスク3. 刑事罰が科されて前科がつく?
「故意、重大な過失」とされ、悪質とされる脱税事件には刑事罰を適用する場合があります。
国税当局が地方検察庁に告発するケースですね。
税務署は税金の警察と呼ばれることがあります。
ただし、脱税で刑事罰を受けるのはよほど悪質なケースに限られます。
(全国的にニュースになるような大きな金額の脱税や、社会的に影響が大きい犯罪的な手法の場合)
ほとんどすべてのケースでは、かなり悪質でも税務調査によって延滞税や加算税などのペナルティがかされる範囲にとどまることが多いでしょう。
もっとも、これでも最大で4割以上の税金がプラスされてしまいますから、ものすごい痛手です。
法人化するメリットはあるか?
節税対策として、法人化を考えることができます。
法人化したら、会社の資産と個人の資産を分離しなければなりません。
節税対策で利用する場合、損金処理することで会社の経費として処理すれば、
個人の資産には影響がないという考えです。
中小零細事業者は、個人の資金を会社の資金に注ぎこみがちになり、
会社と経営者個人が一体化となることがあります。
節税といっても会社をわざと赤字にさせて、
個人の資産を大事にする経営者は存在しますから、法人化すれば必ずよいとは限りません。
赤字なら必要なし?確定申告しなくていい条件とは
赤字なら確定申告はいらない?
年間事業の収支決算をしたときしたとき、赤字だったら基本的に申告しなくても、
税務調査がかかっても税金はとれませんよね。
税務調査は税金を確保するための職責なので、税務調査を実行して税金がとれなかったら、
調査コストを無駄にしたと判断されます。
ところが、赤字でも申告したら得する場合があります。
控除特典がある青色申告事業者は、青色申告の届け出書類を事前に提出している事業者です。
青色申告事業者には、結果として納税額が0円でも、
青色申告の控除後に赤字が出たら、翌年にその赤字の金額を繰越せる特典があります。
翌年に黒字になった場合は前年の繰越赤字で黒字部分を消せるので、
納税額を減らせるメリットがあります。
サラリーマンが副業で儲かった場合は?
サラリーマンは、副業の年間収入が20万円を超えたら、確定申告しなければなりません。
サラリーマンは会社側がすでに給与に対して年末調整を終えて、税金を調整済みです。
「給与以外の副収入が20万円を超えると、申告しなければならない」と条文に示されています。
もちろん副業で儲かったら、無申告で隠しておいても、あとで税務調査がやってきます。
お金が動くところには入出金記録が残されているので、
税務署権限において、どこからでも情報が集められるんですね。
サラリーマンとフリーランスを兼任していた場合は?
サラリーマンとフリーランスを兼任している場合は、
2カ所以上から収入を得ているので、毎年確定申告しなければなりません。
フリーランスは委託事業者が多く、個人事業主になります。
- 会社員
- 個人事業主
を兼任することになり収入が別々になっているので、
所得税法の基準にそって、毎年所得合算して申告義務が発生します。
すでに申告期限がすぎている…どうしたらいい?
申告・納税期限が過ぎたら、期限の後で提出する「期限後申告」をするしかありません。
税務調査は強制調査ですから、あとから調査が入る前に、自主的に申告しましょう。
- 加算税
- 延滞税
のペナルティがあるので、期限を過ぎてしまったらすみやかに申告しましょう。
放っておくと、あとで税務調査の対象にされてしまうので、注意が必要です。
自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?
このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、
「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」
という状況の方が多いかと思います。
- まずは自力でなんとかしよう…
- とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
- 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…
↑こんなふうに考えながら、
コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。
ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、
少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。
なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、
税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。
(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)
注意してほしいのは、
税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。
事業や副業を始めて1年目〜3年目って、
事業者側も会計に慣れていなくて、
計算まちがいが生じていることって多いんですよね。
税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。
もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、
延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。
こういったリスクを避けるためにも、
「事業や副業を始めた最初の年度」から、
税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。
うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)
うちみたいな小さな規模のところには、
税理士なんてまだまだ早い…
↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。
私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。
「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。
ですが、小さい規模の事業者ほど、
「事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。
(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)
なぜかというと、
あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。
税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。
(これは誇張ではなく、リアルな話です)
実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや
副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、
事業を始めてまもないころに、
勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、
数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)
を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。
税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。
利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。
ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、
何年後かにいきなり税務調査がきて、
ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。
なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。
(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)
すでに事業や副業をスタートしている人なら、
少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。
「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります
税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、
使える補助金などの活用方法を教えてくれます。
利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、
「100万円以上も税金が安くなった…!」
なんてことも普通にありますよ。
創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。
(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)
節税対策や補助金を上手に活用できれば、
税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。
あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。
税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。
毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。
これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。
こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、
税理士費用の相場とかよくわからない方へ
「でも、税理士なんて知り合いにいないし、
そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」
↑とはいえ、こんなふうにお悩みの方も多いでしょう。
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