【負債がある場合の相続】借金と相続税でダブルパンチ…税理士に相談して解決した体験談

相続 負債がある場合
負債がある場合の相続問題はどう乗り越えるべき?
  • 親の死後に借金があることが発覚…
  • 相続税と負債の支払いのダブルパンチにどう対処する?
  • 相談すべきは税理士?弁護士?何から始めるべき?

この記事では、負債がある場合の相続問題について、その対応方法を私の実体験を元に紹介します。

私は父の死後、相続手続きを進める中で、多額の負債があることを知りました。

税理士の力も借り、必死になって相続税と負債の両方を支払いましたが、

振り返ってみると「あのとき、こうしておくべきだった…」という反省点がかなりたくさんあります。

「親の相続手続きをしていたら、実は大きな借金があることが発覚した…」

「相続税と負債の両方をどのようにして払うべきか途方に暮れている…」

↑などなど、親からの遺産相続でお悩みの方は参考にしていただけると思いますので、ぜひ読んでみてくださいね。

【この記事を書いた人】文章を書くのが三度の飯より好きな40代前半の税理士ライターです。会計や税務について様々なメディアに寄稿しています。上場企業経理として10年勤務(税理士資格取得)後、税理士・執筆業として独立開業しました。税理士としては常時15社の顧客企業の税務を担当しています。

私が相続問題に直面した時の状況

相続 負債がある場合
親の死後に多額の負債が発覚…その時どうする?

父が亡くなり、相続手続きを進める中で、資産と負債の金額を知りました。

祖父の時代に相続対策で建てた賃貸マンションの建築負債が残っていることが発覚したのです。

その額、なんと3億円…。

負債を返済する目途が全く立たない状況で、眠れぬ日々が続きました。

そのときどうしたか?

全ての負債が自分に降りかかってきたことを知り、絶望的になりました。

しかし相続税の申告期限は10カ月と短いため、一日も早く動かなければなりません。

負債支払いは相続した母が支払いを続けていたので、支払の期限はないものの、

支出が収入を大きく上回っている状況で、近い将来に資金ショートすることは目に見えていました。

銀行は、

「この土地を売却したらどうでしょうか」

「マンションを解体して分譲販売したらどうでしょうか」

「マンションをフルリフォームしてはどうでしょうか」

と、所有している土地の売却や融資を次々に提案してきたため、

このままでは自宅を銀行に取られてしまうという強い恐怖に襲われたことを覚えています。

自分が知っている、ありとあらゆる伝手を頼り、相続手続きを乗り越えましたが、本当に過酷な経験でした。

手続きを終えた今、様々な提案やアドバイスをくれる税理士に相談していれば、もっと負担も少なかっただろうと改めて思います。

相続税の支払いと負債返済

私(長女)には2人の弟がいるため、遺産分割協議も行う必要があります。

父は生前、「長男(上の弟)には何も相続させない、次男(下の弟)には弟が住んでいるところの土地を相続させる、その他は母と私に任せる」と言っており、

家族の誰一人として父の言葉に異論を持つことはなかったため、協議自体は円滑に進みました。

まず、相続税を可能な限り抑えるために、配偶者控除限度額を利用しました。

亡くなった父の配偶者である母に、配偶者控除限度額ぎりぎりまで相続できるものは相続させたのです。

負債がある物件と評価の高い物件を母に相続させ、結果として母には相続税がかかりませんでした。

所有する物件の数が多いわけでもないので、この作業は難しいこともなく、税理士に相談するまでもありませんでした。

しかし、残りの資産を相続した私自身には約4000万円の相続税が発生することとなります。

相続税を支払うために行ったのが、相続した不動産の売却です。

ただし、単純に不動産を売却するだけなら、売却額が低くなってしまい、相続税として支払う額に足りません。

そこで、少しでも売却値を上げるために、事業用物件として運用している物件を不動産投資目的で買収を検討している方に売却したのです。

こうして、最終的に約4000万円の相続税を納めることができました。

負債の返済も同様に、不動産投資物件をとして売却し、無事返済することができました。

二次相続対策

父の相続を通して、二次相続対策の重要さを実感しました。

被相続人の生前から相続の話をするのは不謹慎だと遠慮しがちですが、あとあと困惑することがないように、生前から二次相続対策はすべきです。

私は父の相続手続きを終えてから、税理士と相談の上、母の相続対策をしています。

母も相続手続きを通して、

「自分が亡くなったら、残せる不動産はできる限り残してほしい」

「今住んでいる所は、孫のために残してほしい」

など、自分の思いを私に話すようになりました。

新しい弁護士へは、父の相続手続きでの反省から切り出し、

母の思いを踏まえた相続対策の提案をしてほしい、併せて節税対策もお願いしたいと依頼しました。

生命保険などはなかったか?

父が亡くなり、生命保険が下りました。

しかし、受取人が母になっていたため、実際に相続税を支払う私には何も入ってくることはありません。

生命保険の受取人である母はマンションの負債返済で精神的に手一杯だったので、母に援助を求めることもできず、

相続税を一括納税できない私は延納の手続きを取ることとなりました。

相続手続きでパンドラの箱が開いてしまい、

母は「なんでこんな大変なものを残して逝ったのよ!」

「頭にきすぎて遺影を見るのも嫌だわ」

と遺影を隠してしまったこともありました。

親は自営業?会社?個人事業主?

父は個人事業主で賃貸マンション経営を行っていた一方、法人格で介護事業所も所有していました。

介護事業所は名前だけ社長のようなもので、実際の運営は父の生前より私が行っています。

事業は継続する?しない?

賃貸マンション経営と介護事業所の事業は、父の死後も、売却や譲渡によって継続することを選択しました。

まず、賃貸マンションについてです。

賃貸マンションには入居者がいるため、事業継続と平行して事業用投資物件として売却先を探しました。

介護事業所については、とりあえず私が引き継ぎ、M&Aで譲渡することにしました。

譲渡を決めたのは、小規模の介護事業所が生き残ることの厳しさを感じていたからです。

今後続いていく介護保険改定でのプラス改定は見込めず、実際に小規模事業所が閉鎖されていくのも見てきました。

社長である父の死去をきっかけに、収支がトントンのうちにM&Aを進める意志が固まり、M&Aでの好条件を得るため、収益を上げることに注力しました。

従業員にも、譲渡することについて私の思いは伝えています。

彼らは、今の運営方法が継続できるならM&Aを実行して、経営が安定したほうが安心だと反対する人はいませんでした。

譲渡先の事業者を探すために相談したのは、医療介護のM&Aを専門にしているマッチング会社です。

従業員の希望通り、今の運営方法を変えず、従業員の待遇も変えないという条件を受け入れてくれる譲渡先を探してもらい、M&Aによる譲渡が成立しました。

もし、過去の自分にアドバイスするとしたら?

もし、私が過去に戻れるとしたら、アドバイスすることは次の2つです。

  • 親族が元気なうちに相続対策をしておく
  • 自身に合う専門家を見つける

親族が元気なうちに相続対策をしておく

まず、父が還暦を迎える60歳で相続税対策を切り出します

そして、所有している資産に、どのくらいの負債があるのか、どのような返済計画になっているのかを把握した上で、

税理士に相続税の算出と、併せて相続対策の提案をしてもらいます。

例えば次のような提案です。

  • 土地を売却する
  • 評価額が高くなるよう土地に手を加える
  • 相続が発生した時の残す物件と手放す物件の検討
  • 同族会社の立上げ

提案を受け、実行することで、次の相続の安心材料を増やします。

物件の売却益次第では、投資物件を購入し、その利益を次の相続税納税に充てることができるかもしれません。

このように、早いタイミング(つまり親族がまだ生きているタイミング)で相続対策をしておくと、実際に相続が発生した際の対応の余裕が全く変わってきます。

何も対策をしていないと、相続手続きがその場しのぎになり、結果として大きな損をしてしまったり、親族間でトラブルが発生したりするのです。

自身に合う専門家を見つける

また、税理士や弁護士など、自身に合う専門家の力を借りることもアドバイスとして挙げたいです。

遺産がほとんどないようなケースでは大きな問題にはならないと思いますが、

相続税が発生するレベルの遺産があるような相続では、ほぼすべての場合で専門家の助言が必要になります。

相続税の計算は、知識のない人が自力でやるのは不可能に近いです。

計算間違いがあると税務署がチェックに来て後から追徴課税を取られる…なんてことにもなりかねませんので、必ず税理士に依頼しましょう。

また、相続に関わる親族間でのトラブルが予想されるなら、弁護士に話し合いに参加してもらい、合意したことについては書面をこまめに作っていくことが大切です。

相続手続きの対策に早めに取り掛かることで、時間をかけて自身に合う税理士や弁護士を見つけることができるメリットがあります。

早期に相続対策をしておくことで、その先の人生の豊かさはまったく変わってくると思いますよ。

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相続税理士に依頼したときに感じたこと

相続 負債がある場合
相続税理士は慎重に選ぶべき!

税理士を探している時に感じたこと

税理士を探す中で感じたのは、

  • 目的に応じた強みを持っている税理士を探すこと
  • フィーリングの合う税理士を探すこと

の重要性です。

特に相続に関しては、相続専門税理士でなければ適切なサポートを得られません。

そして、相続手続きと並行して適切な一次相続、二次相続を踏まえた対策を提案をしてくれることも重要です。

税理士の得意分野を抑えておくことは、のちの相続手続きをスムーズに進めるために極めて重要だと言えます。

また、税理士との相性も軽視できません。

相続手続きは、コミュニケーションを密に取ることはもちろんのこと、家族の事情を丸裸にする作業もあります。

そのため、安心して全てをさらけ出せる税理士に依頼することをおすすめします。

私の場合、資産の全てを管理していた父が亡くなり、我が家の資産を誰も把握していない状況でした。

その上、初めての相続手続きの経験で、相続税の申告までの期間が短いという焦りがありました。

結局、ある程度状況を把握している、祖父の相続でお世話になった税理士に依頼することにしましたが、

信頼して任せることができた、とは言い難いのが正直なところです。

税理士に初めて相談した時に感じたこと

ファーストコンタクトのフィーリングは重要です。

私は、初対面で税理士から馴れ馴れしくされ、不信感を抱いてしまいました。

父がフレンドリーな性格だったため、娘の私もそうであろうと先入観を持たれていたように感じます。

また、税理士が銀行と密に連絡を取っていたのか、相続手続きの打合せ内容が伝わっているような感覚があり、誰を信じたらよいのか分からなくなりました。

取っ掛かりで挫けてしまったので、不信感は手続き中消えることはありませんでした。

少しでも違和感を感じる税理士には依頼しない方が無難です。

税理士への不信感から、他の税理士への依頼や担当変更も検討したものの、納税の申告期間が短いという焦りが先立ってしまいました。

また、この相続手続きで我が家の資産状況をしっかり把握することが先決と判断し、我が家の資産状況を知っている税理士で相続手続きを進めることにしました。

まさに背に腹は代えられぬ状態だったのです。

税理士への不信感を抱くことは他にも多々あったため、母の相続に対する税理士を変更することにしました。

次の税理士は、一次相続、二次相続対策の提案と、その後の税金対策、また、相続税対策のための不動産整理についても提案してくれる心強い存在です。

手続き中に感じたこと

父の相続税の手続き中に感じたのは、もっと支払いについてのアドバイスがほしい、ということです。

相続税の算出は税理士が淡々と行っていくので、全てお任せしていました。

手続きの間、相続税の支払いをどうしようか、負債の返済をどうしようかと、支払いのことばかり考えていました。

高額な負債金額に面食らってしまい、八方塞がりの状況だったのです。

税理士が支払いについてもアドバイスをしてくれたら心強かったと切に感じています。

手続きを終えて感じたこと

相続手続きを終えて、初めて父が亡くなった悲しみを感じることができました。

それまでは青天の霹靂で、悲しむ暇がありませんでした。

父が大変なものを残して、私に悲しむ暇を与えないようにしたのかもしれません。

それにしても、父は相続対策を全くしていなかったため、大変すぎる仕事でした。

祖父の相続で「争族」を経験したため、相続から距離を置きたかったのかもしれません。

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