- 何でも経費で落とすって本当は危険?
- 節税になるって本当?実は損したりする?
- 税務署対策の方法ってどんなやり方?
自営業者は何でも経費で落としたら得をする!という話はよく聞くと思いますが、
それって本当なの?と疑問に思ったことはありませんか?
さすがに何かデメリットがあるのでは…?と不安になってしまいますよね。
この記事では、自営業者の方向けに「支払いを何でも経費として処理すること」のメリットデメリットについて説明します。
税金を少しでも安くしたい…!とお考えの自営業者の方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
個人事業主様の確定申告を代行している会社で、営業とカスタマーサポートの仕事をしています。過去4年間で1500件以上の確定申告のサポートを担当しました。FP2級の資格を持っており、現在、0歳と2歳の子どもを育てるママライターです。
「何でも経費で落とす」は本当に節税になる?
「何でも経費で落とす」ことが本当に節税になるのか?
↑結論から言うとこれは本当です。
経費が増えることによって、利益が少なって納める税額がも少なくなるからですね。
ただし、実際に支払ったお金のうち、どういう内容のものを経費として処理してOKか?は法律でルールが決まっていることに注意が必要です。
もし、法律のルールを超えて「事業となんの関係もない単なる生活費」を経費として処理したり、
友達や家族と遊びに行ったときの支払いを経費で落としてしまったりしたら、
最終的に税務調査でその経費処理を否定されてしまう可能性があります。
税務調査で経費処理を否定(否認)されてしまうと、当然ながら税金を追加で支払うことになります。
これを追徴課税と呼びます。
追徴課税には延滞税という形で利息を支払わないといけない他、
加算税という罰金ペナルティがプラスされることもあります。
結果的に税金の負担額が増えてしまうようなケースもあるので、注意が必要です。
具体的に何が経費にできる?
経費になる or ならないの明確な線引きは無く、経費で落とす基準は以下の2つです。
- 事業に関係する支出であること
- 収入を得るために必要な支出であること
↓具体例を挙げると、例えばこのようなものですね。
- 取引先との打ち合わせでカフェを利用した費用(会議費)
- 取引先のところに行くまでにかかった交通費
- 仕事をする上で必要な研修を受けた費用(研修費)
- 仕事に必要な情報を得るために買った本(新聞図書費)など
経費になるのか悩んだときは「これは◯◯の仕事の△△に必要だから経費」と理由付けできるか考えてみましょうね。
友達との飲食代でも仕事に必要な情報収集をしたり、仕事の話をしたのであれば、経費として計上できちゃうんです。
経費計上をするためには、領収書やレシートなど支払ったことがわかる資料が必要なので、
必ず残しておきましょう!
経費で落とせない経費(具体例)
経費で落とせない経費は以下のとおりです。
- 所得税や住民税
- 交通違反の罰金
- 一人で食べたお昼ご飯代
- 家族との飲食代 など
個人事業主は仕事とプライベートの境目がわかりにくいですが、
明らかにプライベートなもの(一人での食事や家族との食事など)は経費にならないんですね。
なお、接待交際費の中でも1回の食事で何十万円にもなる飲食代は、税務調査の際に否認される可能性があるので、注意してくださいね。
経費を使った根拠となる資料(当時のスケジュールや取引の内容など)は残しておくようにしましょう!
「何でも経費で落とす」で特に有効な方法を紹介
1. 設備や車両の購入
経費で落とす有効な方法の一つとして、設備や車両の購入があります。
「少額減価償却資産の特例」を使えば、取得価額が30万円未満のものを一括で経費にすることができちゃいます。
10万円を超える設備などを購入した場合、通常は耐用年数に応じて分割して経費計上する必要がありますが、
「少額減価償却資産の特例」を活用すると購入した年に一括で経費にできるので、その分税額を抑えることができます。
なお、この制度は青色申告をしている人だけが使える制度で、特例を受けるために一定の要件を満たさなければならないので気をつけてくださいね。
他にも、中古車を買って定率法で減価償却する方法もあります。
減価償却の「定率法」を使うと、購入した年に減価償却費を多く入れることができます。
(取得価格ー前年までの償却額)×償却率
例えば、80万円で4年落ちの普通車を購入した場合(耐用年数2年、償却率1.00)
800,000×1.00=800,000
中古車を購入した年に80万円を一括で減価償却費として計上できちゃいますね。
なお、個人事業主が定率法で減価償却をする場合は、税務署に申告して変更する必要がありますよ。
一度定率法に変更すると、定額法に戻して再び減価償却することはできませんので注意が必要ですね!
2. 生活費(家事支出)を按分計算で経費計上する
家の一室で仕事をしている場合は、
家賃や水道光熱費、ネット回線の費用などを一部経費として計上できちゃいます。
プライベートでも使っているものを経費で落とす際は、
事業で使っている割合を決めてその分経費に入れる按分(あんぶん)をするのです。
事業割合は自分で決められますが、使用日数や面積など根拠のある合理的なものにしましょうね。
極端に事業割合が高い場合には、税務調査で否認されちゃうかもしれません。
例えば、自宅(賃貸、広さ40㎡の1LDK)の一室(広さ5.4畳・10㎡)で仕事をしており、
その電気代を按分する場合は、広さを基準に考えると事業割合は10㎡÷40㎡=1/4
月の電気代が10,000円であれば、そのうちの2,500円を経費計上できるということになりますね。
なお、持ち家の場合は住宅ローン控除などを考慮する必要があるため、税理士に相談しましょう!
家でも仕事をする場合は、一部経費に入れられることを知っておくと無駄な出費をせずに経費を増やすことができますね。
3. 倒産防止共済や小規模共済など「自営業者だけが使える制度」を活用する
個人事業主が加入できる「倒産防止共済」や「小規模共済」を活用することで節税できるんですよ。
「倒産防止共済」とは、取引先が倒産して売掛金などを回収できなくなったときに、
連鎖倒産を防ぐため掛金の最大10倍まで借入できるもので、掛金は全額経費にできます。
一方で、「小規模企業共済」とは個人事業主のための退職金制度で、
個人事業主は会社員のような退職金がないため、小規模企業共済で退職金の準備ができます。
この掛金は全額経費ではありませんが所得控除になるので、こちらも節税対策になるのです。
万が一のために備えながら、掛け金を全額経費や所得控除にできるため個人事業主にとっては助かりますね!
ただし「何でも経費で落とす」にはデメリットもある
1. 支出管理がルーズになりがち
何でも経費で落としていると、どれが何のための経費なのかわかりづらくなっちゃいます。
個人事業主は仕事とプライベートの区別がつきにくいので、何でも経費で落としたくなる気持ちはとてもわかりますが、経費が多いということはその分現金が減っているということです。
売上が上がっていても手元に残るお金(儲け)が少なければ、事業の継続が厳しくなる恐れがあります。
売上を伸ばしていくために必要な経費を使うことは大切ですが、無駄な経費を使わないことも大切ですよ。
先ほど紹介した有効な節税方法や青色申告特別控除などを活用して、無駄な支出を抑えて節税をしましょう!
2. 証拠をそろえておかないと税務調査で否認される可能性あり
経費で落としすぎていると、税務署からプライベートのものまで混ざっているのではないか?と脱税を疑われる可能性があります。
個人事業主に税務調査は入らないと思っている方は多いですが、実際はそんなことありません!
あまりにも経費を落としていたり、何か疑わしいことがあったりすると個人事業主でも税務調査が入ってしまうんです。
税務調査のときには、本当にその経費を事業に関係する費用として使ったのかが問題になります。
税務調査対策として、経費の領収書を残しておくのはもちろん、何のために使った経費なのか答えられるようにしておきましょうね。
特に接待交際費などには「この経費は◯◯の仕事の△△に必要だから」と領収書と一緒にメモを残しておくと安心です。
このように答えられないような経費は入れない方が無難なんです。
3. 社長を見ているのは税務署だけではない
何でも経費で落としている社長を見ているのは税務署だけではなく、取引先や金融機関、従業員なども見ているのです。
何でも経費で落としている社長を見て取引先は「このような会社と取引して大丈夫なのか?」と取引に影響するかもしれませんし、
金融機関だと「利益が出ていない会社に融資できない」と言われる可能性もあります。
事業をしていく上で、融資を受けられないとなると会社の存続が危ぶまれます。
他にも、従業員が何でも経費で落としている社長を見て「こんな会社に居て大丈夫なのかな?」と不安を煽ることにもなっていまいますね。
「個人事業主は何でも経費で落とせる」と思っている人もいるかもしれませんが、
やりすぎると周りの信頼を損なう可能性が出てくるので、
常に「この経費は事業に必要なのか?」考えた上で経費計上しましょうね!
自営業者は、いつのタイミングで税理士に相談すべき?
このブログ記事を読んでいただいている方の多くは、
「なんらかの理由で、会計や税金の計算をなんとかしないといけない」
という状況の方が多いかと思います。
- まずは自力でなんとかしよう…
- とりあえず、今年は自分で確定申告やをってみよう。
- 税理士さんに任せるとかはまだ早い気がするし…
↑こんなふうに考えながら、
コツコツ作業されている方も多いかもしれませんね。
ただ、今後もずっと事業や副業を続けていかれる予定の方であれば、
少しでも早く税理士に税金計算を依頼した方が良いですよ。
なぜかというと、事業を始めてからだいたい3年以内のタイミングで、
税務署から税務調査がやってくる可能性が高いからです。
(特に「利益が出ている新しい企業」は集中的に狙われます)
注意してほしいのは、
税務調査って「過去の年度にさかのぼってチェックしてくる」ことです。
事業や副業を始めて1年目〜3年目って、
事業者側も会計に慣れていなくて、
計算まちがいが生じていることって多いんですよね。
税務署は、私たち事業者側のそういう「弱いところ」をついてきます。
もし税務調査が入って計算のまちがいを指摘されると、
延滞税や加算税などばく大な金額のペナルティが課せられる可能性があります。
こういったリスクを避けるためにも、
「事業や副業を始めた最初の年度」から、
税理士に確定申告を依頼しておいた方が良いんです。
うちには税理士なんてまだ早い…(←これ、危険すぎです)
うちみたいな小さな規模のところには、
税理士なんてまだまだ早い…
↑ここまで読まれて、こんなふうに感じたかもしれません。
私も自営業長いことやってますので気持ちはわかります。
「税理士に依頼」とか、なんとなくハードルが高いですよね。
ですが、小さい規模の事業者ほど、
「事業スタートした最初の年」から税理士に見てもらう方が良いのはまちがいないです。
(すでに経験豊富な経理スタッフを従業員として雇っているとかなら別ですが)
なぜかというと、
あまり知識がない状態で、自力で税金計算するのってあまりにもリスクがでかすぎるんですね。
税金の計算をいい加減にやってしまうと、下手すると会社がつぶれます。
(これは誇張ではなく、リアルな話です)
実際、私は過去に300名以上の自営業者さんや
副業サラリーマンの方たちとやりとりをしてきていますが、
事業を始めてまもないころに、
勘違いしてやってしまった会計処理のミスが原因で、
数十万円〜100万円以上の追徴課税(延滞税や加算税のこと)
を課せられてしまった人たちをたくさんみてきました。
税金は期限までに「現金で」払わないといけないのにも要注意です。
利益が出ていても、入金がかなり先で税金の納付期限にまにあわない…ってあるあるですからね。
ほんのわずかな税理士に支払うコストを節約したのが原因で、
何年後かにいきなり税務調査がきて、
ウン十万円、ときにはウン百万円もの追徴課税をとられる…。
なんて、馬鹿馬鹿しすぎますよね。
(最近はYouTuberとかでもそういう人増えてるみたいですが)
すでに事業や副業をスタートしている人なら、
少しでも早いタイミングで税理士に依頼しておく方が絶対に良いですよ。
「100万円以上も税金が安くなった…!」なんてケースもあります
税理士は、自営業者や副業の人向けの節税対策や、
使える補助金などの活用方法を教えてくれます。
利益がかなり出ている年に適切な節税対策ができれば、
「100万円以上も税金が安くなった…!」
なんてことも普通にありますよ。
創業後1〜3年以内の自営業者だけが使える補助金とかもありますからね。
(※ 補助金=申請すれば政府からタダでもらえるお金のこと。これは期間限定なことが多いので、絶対に検討しておいた方が良いです)
節税対策や補助金を上手に活用できれば、
税理士に支払うコストぐらいは普通にペイできてしまったりします。
あと、経理のレシート整理とかってめちゃくちゃめんどくさいですよね…。
税理士に依頼すれば、こういう作業は全部変わりにやってもらえるのも大きいです。
毎日コツコツ領収書整理して、自力で確定申告…なんて早めに卒業しましょう。
これって経営者がやるべき仕事じゃないですから。
こういう「めんどうな割に1円も生み出さない作業」は税理士に丸投げして、
税理士費用の相場とかよくわからない方へ
「でも、税理士なんて知り合いにいないし、
そもそも税理士の料金相場とかさっぱりわからないんだけど…」
↑とはいえ、こんなふうにお悩みの方も多いでしょう。
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税理士って、地域によって料金相場がまったく違うので注意してください。
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